「電気温水器があるかわからない」という状態を解消しておくことは、単に日常の光熱費を把握するためだけでなく、災害時における「命を守る備え」を把握することと同義です。電気温水器の最大のメリットは、タンクの中に数百リットルという大量の清潔な水(お湯)を常に蓄えているという点にあります。地震などの災害で断水が発生した際、このタンク内の水は貴重な生活用水として、場合によっては非常用の飲料水としても活用できます。しかし、その恩恵を享受するためには、温水器がどこにあるのか、そしてどのようにして水を取り出すのかを事前に知っておかなければなりません。室内の目立たない場所やメーターボックスの中に隠されている温水器の存在を把握していないと、いざという時にこの「巨大な水瓶」を目の前にしながら活用できないという悲劇が起こります。まず、温水器本体を見つけたら、下部にあるカバーを外して、排水栓や非常用取水ホースの有無を確認してください。多くの機種では、手で回せるつまみを操作するだけで、タンク内の水を取り出すことができるようになっています。四人家族であれば、三百リットルから四百六十リットルのタンクがあるのが一般的で、これは数日分の生活用水を十分に賄える量です。もし、あなたが自分の家がガス式だと思い込んでいて、実は電気温水器だったとしたら、断水時にわざわざ遠くの給水所まで並びに行く苦労をせずに済むかもしれません。逆に、温水器の存在を知らなければ、その貴重な資源はただ壁の向こう側で眠り続けるだけになってしまいます。また、電気温水器は停電時でも、タンクに残っているお湯を蛇口から出すことができるタイプが多いです(温度調節はできませんが)。災害に強い家にするためには、まず家の中のインフラを可視化することが不可欠です。電気温水器が「あるかわからない」という不透明な状態を、今日のチェックで「ここにあるから安心だ」という確信に変えてください。その一歩が、平穏な日常だけでなく、非常時におけるあなたと家族のレジリエンス(回復力)を劇的に高めることになるのです。