それは平日の静かな夜のことでした。就寝しようとベッドに入ったものの、どこからか「シュー」という微かな音が聞こえてくることに気づきました。最初は気のせいかと思いましたが、音は一向に止む気配がありません。音の出所を探して家の中を歩き回ると、どうやらトイレの中から聞こえてくるようです。トイレのドアを開けると、音はさらに大きくなり、便器の中を覗き込むと、水面が常に微かに波立っているのが見えました。タンクに耳を当てると、明らかに水が流れ続けている音がします。これが「トイレの水がたまらない」状態、つまりタンクへの給水が止まらない状態なのだと直感しました。すぐにスマートフォンで原因を調べると、どうやらタンクの底にある「フロートバルブ」というゴム栓の劣化が最も怪しいことが分かりました。翌朝、私はまずトイレの止水栓を閉めてから、恐る恐るタンクの蓋を開けてみました。すると、黒いゴム製のフロートバルブに触れると、指が真っ黒になりました。ゴムが劣化して溶け出している証拠です。これなら原因は間違いなさそうだと確信し、取り外した古いバルブを持って近所のホームセンターへ向かいました。同じ形状の新しいフロートバルブとチェーンは、千円ほどで手に入りました。家に帰り、説明書を見ながら新しいバルブを取り付け、チェーンの長さを何度か調整すると、ピタッと水が止まるようになりました。止水栓を開けて水を流してみると、タンクは正常に満水になり、あの不快な音は完全に消え去りました。修理にかかった時間はわずか30分ほど。専門業者を呼べば1万円前後の出費になっていたかもしれませんが、自分で対処できたことで、大きな達成感と安堵感を得ることができました。この経験から、水回りのトラブルも、原因を正しく知れば自分で解決できることがあるのだと学びました。
ある日突然トイレの水が止まらなくなった話