トイレの床がじわじわと濡れている時、その原因を特定するための重要なヒントが、漏れ出している「水の色と臭い」に隠されています。どこから水が来ているのか見た目では判断が難しい場合でも、水質を観察することで、トラブルの原因箇所をある程度絞り込むことができます。まず、床にたまっている水を、白いティッシュペーパーや布に吸わせて、色を確認してみてください。もし、水が「無色透明」で、特に気になる臭いもしない場合は、その水は水道水、つまりきれいな水である可能性が高いです。この場合、原因として疑われるのは、壁や床から伸びる「給水管」や「止水栓」、あるいは「トイレタンク」からの水漏れです。給水管の接続部のパッキンが劣化していたり、タンク内部の部品が故障してきれいな水が漏れ出していたりするケースが考えられます。また、ウォシュレットに繋がる給水ホースからの漏水も、このパターンに含まれます。一方、吸わせた水が「汚れている」、あるいは「黄ばんでいる」ように見え、さらに「下水のような不快な臭い」がする場合は、事態はより深刻です。その水は、便器から流された後の汚水である可能性が極めて高いからです。この場合、原因として考えられるのは、「便器と床の接合部」や、床下の「排水管」からの水漏れです。便器と排水管を繋ぐシール材が劣化して、トイレを流すたびに汚水が漏れ出している状態が疑われます。この汚水による水漏れは、衛生的に問題があるだけでなく、床下の木材を急速に腐食させるため、特に迅速な対応が必要です。このように、漏れている水の状態を注意深く観察することは、まるで探偵が手がかりを見つけるかのように、トラブルの真相に迫るための重要なステップとなります。