トイレの給水弁のトラブルを調べていると、「ダイヤフラム」の他に「ピストン弁」や「ゴム弁」といった言葉を目にすることがあります。これらは、いずれも給水弁の内部で水の流れを制御する役割を担う部品ですが、その構造や採用されているトイレのタイプが異なります。ご自宅のトイレの給水弁のタイプを理解することは、トラブル時の適切な部品選びや修理に繋がります。まず、一般的に「ダイヤフラム」と呼ばれるのは、主にゴム製の薄い膜状の部品で、給水弁の内部で水圧によって変形し、給水路を開閉するタイプです。この方式は、比較的シンプルな構造で、水の流れをソフトに制御できるという特徴があります。古いタイプのトイレや、一部の普及型トイレに多く採用されています。ダイヤフラムが劣化すると、硬化したり、ひび割れたりして、水の止まりが悪くなるなどの症状が現れます。次に、「ピストン弁(ピストンバルブ)」は、円筒形のピストンが上下に動くことで給水路を開閉するタイプです。ピストン弁の周りにはOリングなどのゴムパッキンが使われており、これが密閉性を保ちます。ピストン弁は、ダイヤフラムに比べて耐久性が高く、より安定した止水性能を発揮すると言われています。近年販売されている節水型トイレや、比較的モダンなトイレに多く採用されています。ピストン弁が不具合を起こす場合、Oリングの劣化やピストン自体の摩耗、異物の挟み込みなどが原因となることが多いです。また、「ゴム弁」という言葉は、広義にはダイヤフラムやピストン弁内のOリングなど、ゴム製の止水部品全般を指す場合もありますが、特に古いタイプの一体型給水弁で、直接ゴム製の弁が給水路を塞ぐ構造のものを指すこともあります。ご自宅のトイレの給水弁がどのタイプかを見分けるには、まずトイレのメーカーと型番を確認し、取扱説明書やメーカーのウェブサイトで部品図を参照するのが最も確実です。古いトイレで説明書がない場合は、タンクの蓋を開けて、給水弁(ボールタップ)の外観や、分解した際の内部構造で判断する必要があります。ボールタップの頭の部分がネジで固定されたカップ状になっている場合はダイヤフラム式の可能性が高く、スリムな一体型の場合はピストン弁式の可能性が高いでしょう。交換部品を購入する際は、必ずご自宅のトイレの給水弁のタイプに合ったものを選ぶことが重要です。
ゴム弁?ピストン弁?ダイヤフラムの種類と選び方